82. 本格派・気仙沼弁---10 (1999.5.9)

大阪の佐藤さんからメールをいただいた。
佐藤さんは、仙台で生まれ育った。
しかしながら、その地区は、さまざまな県の出身者が集まった特殊な地区で、標準語をネイテイブラングエイジとしたそうな。
すると中学入学の時、仙台弁を「かだれない」という、ひどいカルチュアーショックを受け、その傷跡が未だに癒えないそうだ。

そういえば、企業人が海外に赴任しても、日本人同志が集まってしまい、その国の言葉を使わなくても生活できるという話を聞く。それと同じかな。

さて、「かだれない」というのは、「語れない」がなまったもの。
「言う」「言えない」を「かだる」「かだれない」と使う。
「言わない」は「かだらない」

「好ぎだってかだれ〜〜」(好きだって言ちゃいなよぉ〜)は、
なかなか「好き」と告白できずにいると、友達が「言っちゃえ、言っちゃえ(かだれ、かだれ〜〜)」と、はやしたてる様が浮かぶ。あわい初恋の思い出がよみがえる。

「語る」は標準語にもあるが、「言う」よりは、「物語を話して聞かせる」という意味で使う。
父は東京に来ると「かたる」と濁点をとって発音してみるが、相手はちょっとけげんな顔で見る。
濁点をとれば、なんでも標準語だと思っている気仙沼人は案外、多い。

さて、前回の宿題「まなぐ」だが、スタッフ君には想像もつかないらしい。
「さっそく、って事?」なんてトンチンカンな事を言っている。
「まなぐさつける薬ケロ」を「さっそく(とか、早く)つける薬ケロ」と思ったのだそうだ。
ブー。はずれ。

「まなぐ」は「目」のこと。
「まなぐ・ひぐらいん」は「目を閉じて」(Close your eye's.)
「まなぐ・あげらいん」は「目をあけて」(Open your eye's.)
「まなぐさつける薬ケロ」は、「目薬ください」という意味だ。
語源は、古語の「まなこ」からきている。

「まなぐ」は、思いのほか難易度が高かったようだ。
さて次の宿題は、「ホイド」
ヒント:「昔、うちの近所にホイドが来たんだ」とか、
「最近は、ホイドを見かけないおんね」などと使う。
「でも、新宿の地下道には....」おっと、あんまりヒントを出すとわがってしまうな〜。

ほんで、この辺で。まだねぇ〜(See you!)

つづく...