78. 名前 (1999.5.2)

歌舞伎会に入っていると、毎月「ほうおう」という小冊子が送られる。
これに掲載される芸談を楽しみにしている。役者の以外な一面が覗けるからだ。

今月は「中村福助」。
(福助は橋之介の兄さん。橋之介の奥さんは三田寛子。)
福助は女形で、その容姿から想像できないが、阪神タイガースファンだそうだ。
しかも、熱狂的な。
どうでもいいが、阪神ファンってのは皆、熱狂的だよね。
半端な阪神ファンに出会った事はない。

「大阪人は声が大きい」と私とポチの意見が一致している。
声の小さい大阪人に会ったことがない。
だから、阪神が優勝した年の大阪人の存在感はこの上なかった。

福助は東京生まれの東京育ちで、どうして阪神ファンになったのかは知らない。
さて、中村扇雀の息子の名前は「虎之介」という。
ボニートスタッフAの息子の名も虎之介だ。虎年に生まれたから付けたそうだ。扇雀の息子もそうだろうと想像する。

しかし福助は、「それほどまでの阪神ファンだったとは知らなんだ」と、上から下まで阪神タイガースキャラクターの子供用品一式をプレゼントしたそうな。
ちなみに、扇雀は巨人ファンだとか。

虎年に生まれた虎之介は、凛々しい感じがしてよい。
女だったら「虎子?」
この時代に「虎子」は、いじめられるだろう。
「あ〜、なぜ、うさぎじゃなかったのかしら」と親を恨むに違いない。
「あんた、イノシシよりはましだから感謝しなさいよ」なんてね。

さて、歌舞伎役者には、名前の襲名がある。
一昨年、片岡仁左衛門の襲名でわいたのは、もと片岡孝夫だ。孝夫は本名。大人になるまで、しかも人気役者にもかかわらず本名で出ているのは珍しかった。

私と歌舞伎の友のジョイちゃんは、今だに「タカオさん」と呼んでいる。
そのうち「ニザエモン」と呼ぶ日が来るのかな?