私が初めて端末機に触れたのは、とっても偶然なんだ。
プータロー時代、「アルバイトニュース」という雑誌で、次の仕事を探していた。
すると、よさそうなものを発見。
ダス○ンという会社で、製品を袋につめたり、仕分けする作業で、軽作業とある。軽作業にしては、時給がちょっとだけ良い。さっそく履歴書を手に面接会場に向かう。
し・しかし、予想以上に人気で、たしか5人くらいのところに、30人くらいの履歴書が積まれてしまった。担当の人が「もう、いっぱいです。ここで締め切ります。」と言う。なぁ〜〜んだ、せっかく電車賃をかけてここまで来たのに、無駄になってしまった。
と、その時に、「入力作業はまだ募集しています。よかったら、そちらに履歴書を出してください。」と言う。
「え??? 入力作業?」
当時、私はバンドをやっていて、皆でデビューすることを夢見ていた。
バンドメンバーは、ドカチンや、引っ越しの荷物運びなど、いわゆる力仕事をやってがんばっていたが、私だけ女で、そういうのが出来ない。なんだか、自分一人だけヤワな仕事をしていて、申し訳ない気持ちでいた。
そこに「入力作業」と言われ、「ウッ」と来た。
「力を入れる」と書いて「入力」と読む。
これで、私も力仕事系に従事できるかもしれない。
「あの〜〜、女性でもかまいませんか?」とたずねると、「むしろ女性の方がいいんです」と言う。
女性の方がいいってことは、そんなに重労働ではないだろう。分類としては軽作業に入るのだろうか?
わけもわからぬまま、とりあえず「入力作業」に履歴書を置いた。
2人を募集するところに、5枚くらいの履歴書が積まれて、締め切られた。
それから数日後に電話で、「採用が決まった」と言う。
「入力作業の経験はありますか?」と聞かれ、「ありません」と答えた。
「入力作業って何ですか?」とは聞けなかった。そんなことを言って、せっかくの採用が取り消しになってはいけない。
「心配いりません。すぐ慣れますから。」
「はい」と答え、仕事が確定する。
仕事開始。
動きやすい服を着て、ダス○ンに行く。
すると、大きな部屋を通り抜け、そこだけパーティションで仕切られた小さな部屋に通される。端末機が2台あり、どうやら、それにデータを打ち込むらしい。やっと「入力作業」の意味がわかり、一人赤面する。
従来の「手書きの顧客管理」を端末機に移行しデータベース化する。移行時の大量のデータ打ち込みがバイトの仕事だった。
生まれて初めての、コンピューターとの出会い。IBMの端末機。
バイトがデータを入力し、それを女性の社員がチェックする、という仕事を2カ月間こなし、仕分け作業よりもずっといいバイト代を手にした。
おもえば、この時コンピューターと出会ったことが、今日の仕事に結びついている。
ダス○ンには、採用していただいたことを心から感謝している。
それにしても「input」が「入力」と訳されるまでには、いろいろと経緯もおありなんだろうね。