23. 顔が痛い痛い病 (1998.12.4)

12年前の話で恐縮だが、私はワープロオペレーターをしていた。
人材派遣会社から「バリバリのオペレーター」ってふれこみで大企業に派遣されたのだが、実は、その3日前に即席の講習会を受けて行った。
まぁ、その前に英文タイプで、ブラインドタッチは完璧に出来ていたから、「なんとかなるさ」とは思っていたが、なんとかなっちゃった。私の人生「なんとかなるさ」でここまで来てしまった。これからもそうあってほしいと願っている。

しかし、当時、花形であるはずのワープロオペレーターは、とんでもなくたいくつな仕事だった。
手書きの原稿を見ながら、ひたすらキーボードを打ち続ける。

私は、ほとんど画面を見なくても打てたし、打ちながら他の事を考えたり、手をとめずにおしゃべりすることも出来たから、気分転換していたつもりだが、やっぱりいやなものはいやだった。
何がいやかと言うと、機械になっていることがいやだった。
言われたことをやるだけ、見て打つだけが苦痛だ。

しかしながら、他に仕事があるわけでもないし、給料がもらえなければ、暮らしてはゆけぬ。
毎日、毎日ワープロに向かった。
すると、ある日、顔に痛みが出た。目のあたりから口のあたりまで痛い。
顔がお岩さんのように腫れている気分だが、鏡に写る顔はいつもと同じ顔。
顔をさすってみても、どこが本当に痛いのかわからない。なにしろ顔じゅう痛いのだ。
目に問題があるのでは、というので眼科に行くが異状なし。先生には「本当に痛むのか」などと言われ、泣きたくなった。
とりあえず、早退し、ふとんに横になる。横になったからといって、痛みがやわらぐわけではない。

眼科でなぐさめ程度の目薬をもらったので、それをさしては横になり、2日ばかり過ごした。
すると、自然に痛みがやわらいで、3日目には職場に復帰した。

まったく同じ症状がもう一度出た。対処法も同じだし、痛みがひいていくタイミングも同じ。
それが何だったのかわからないが、ワープロオペレーターをやめてから今日まで、その症状はない。

今の仕事はどうかというと1日の大半がパソコンのモニターを見ながら、キーボードを打つ。しかし、あんな痛みはない。
やはり、神経的なものなのだろうか?
本当にいやなものは、そうやって身体から「いやだよ警報」を発することを知った。登校拒否児の問題も、もっときちんと解決してあげるべきなんだよね。ほんとは。