158. バタバタについて (1999.12.10)

言葉は生もので、変化するからおもしろい。
子ギャル言葉も進化するが、ビジネスマン言葉も変化しているから注意して聞いてみよう。

例えば「バタバタ」
「申し訳ありません。ちょっとバタバタでですね〜、ご連絡が遅くなってしまって」などと使う。
つまり忙しいという意味。
これを「忙しくて連絡が遅くなった」とストレートに言うよりも「バタバタ」の方が言いやすいのだろう。

西新宿界隈では、道行くビジネスマンが携帯電話に向かって「バタバタ」を連呼している。
やっぱり師走だなぁ。

そこでバタバタについて考えてみる。
会社の中で書類を探す時、ファイルとファイルがぶつかりあって作り出す音が「バタバタ」
または、忙しくて、走り回ってる様を表す「バタバタ」
おそらくは、その両者が重なり合って、かなり「バタバタ」

これに「ちょっと」と付けるところに着目したい。
「ちょっとバタバタ」は、実に日本的な表現である。
「バタバタ」は、かなり忙しい状態を表しているにもかかわらず、その前に「ちょっと」と付ける。
「ちょっと」というのは、「少し」という意味もあるので、これではかなり忙しいのか、少し忙しいのか、混乱する。
しかし、ここでの「ちょっと」は「少し」の意味ではないことは、日本人なら理解出来る。
「ちょっと」は物事をあいまいにする便利な言葉である。
これを英訳しようとすると、う〜ん、困っちゃうよね?

「ちょっと」を多発する人もいる。
「ちょっと電話ください」とか「ちょっと目を通しておいて」と、口癖になっている。
もちろん国語学者に言わせれば、誤った日本語だが、
「ちょっと」に「ですね」を付けると、あたかも尊敬語のように聞こえるから不思議だ。
「ちょっとですね、この件に関しましては宿題とさせてください」と目上に対して使ったりする。

てなわけで、バタバタになると、つい余計なことばかり考えるオヤマでした。
(そんなことを考える間に仕事しろ、と言われそうだな)