133. 地震の恐怖 (1999.9.21)

台湾で大地震が発生し、テレビで生々しい状況を映している。
一瞬にして、これだけのものを倒してしまうのだから、地震はすさまじい。
地震の怖さは、体験したものでないと、なかなか、わからないかもしれないが、逆に、それを体験したものは、その恐怖を二度と忘れることはない。

1978年は、気仙沼で地震の多い1年だった。
いわゆる「宮城県沖地震」が発生した年だ。

あの歴史に残る大地震の前にも大きな地震があったことを語る人は少ない。
2月20日、同じく宮城県沖で、マグニチュード6.7の地震。
ただ、震源の深さが「宮城県沖地震」よりも少し深かったからか、ほとんど被害がなかった。
人々の記憶から、薄れてしまった名もない地震と、その時の恐怖を鮮明に覚えている。

高校2年生の私は、学校で、ネギ先生の物理の授業を受けている。
そんな時に限って、原爆のスライドを見ている。
電気を消し、教室は暗い。
なんだか、急に外も暗くなる。雷の前のように、あたり一面が暗い。
教室には、ストーブに火が入っている。
先生は、何か講義している。
原爆による惨事と被爆者の映像が映し出される。

突然の大揺れ。
キャァ〜〜〜(女子校らしく悲鳴があがる)。
目の前の原爆の映像とダブって、恐怖心は何倍にもふくれ上がる。
前を見ると、先生は机に両腕をおいたまま硬直している。
気が動転する。

すると、クラスメートのタカちゃんが「先生、ストーブを消してくださいっ!」と叫ぶ。
教壇からストーブは近く、何かの時には、先生がストーブを消す、と指導されている。
ストーブは、旧式のもので、消すために2〜3の手順をふまないといけない。

しかし先生は、硬直状態(フリーズ)。
ヤダ、火事になっちゃう〜〜〜。
すると、ストーブ近くの生徒2人が、すごい反射神経で、ストーブの火を消す。
手際のよさに拍手と歓声がわく。
まだ大きく揺れている。

また、タカちゃんが「みんな、机の下にもぐってっ!」と叫ぶ。
一同「ハイッ!」と指示に従う。
先生は、まだ硬直している。

またまた、タカちゃんが「先生! 先生も・机に早く・早く」
先生は顔面蒼白のまま、机の下へ。

少しして、校内放送が流れた。
「皆さん、あわてないで、ストーブの火を消し、机の下にもぐってくださ〜い」
うちのクラスは、その放送を机の下で聞いた。
まだ、大きく揺れている。

タカちゃんが机の下から「みんな、大丈夫すかぁ〜」と叫ぶ。
一同「大丈夫〜」と応える。
数分間、その状態のままでいる。

机の下で、タカちゃんのたくましさと、ネギ先生(男)の頼りなさがおかしかった。
そして、「ひょっとしたら、このまま死んじゃうかもしれないな」なんてことを思っていたのだ。

つづく...