私の髪は、硬くてしっかりしている。
良く言えば、髪にも主張がある。悪く言えば、融通がきかない。
まるで、誰かの性格のようだって声が聞こえそうではある。
ま、そんなわけで扱いは大変で、美容院では、必ず「大変でしょう〜?」と言われる。
「大変なのは、不運にもこれをカットしなきゃならない貴方ではありませんか?」と言いたいがグッとこらえる。
いらん事をいって、ぞんざいにやられてもいけない。
鏡の前の私は、やけにおとなしい。
西新宿に越してから、「定期的にロンドンに行き勉強しているのがウリの美容院」に通った。
雑誌「流行通信」なんかにも出ている店だ。
なかなか先端を行っているようで、若いお客が絶えない。
しかし、案の定というか、私の知り合いには不評で「失敗じゃない?」と言われる。
「いやいや、これがロンドンで流行の.........(汗)」と言ってみるが、「似合わない」で片づけられる。
その美容院は、神宮前にも店を出したから、やっぱり先端を行っているのだろう。
神宮前あたりには、カリスマ美容師がいるらしい。
テレビでカリスマ美容師が対決する番組を見た。
それは、おそらくは最先端な髪型なんだろうけど、どうみても寝起きのハネた状態にしか見えない。
そのハネが自然に軽やかにいかないといけないそうだ。おまけに前髪は、わざとそろってない。
素人が切ったようにも見えるが、見る人が見れば、わかるのだろう。
さて、ハネた髪といえば、やっぱりチャリを思い出す。
チャリとは、高校の時、テニス部で一緒に汗を流した。
鹿折から自転車でさっそうとやって来る彼女の髪は、おもいっきり風になびいている。
「チャリ〜・おはよ」と声をかける。
「リ〜・おはよ」と自転車から降りた彼女は、風が吹いていなくても、髪は強風の中だ。
あれは、作ろうと思ってもなかなか出来ない髪型だろうね。
そして、授業中もチャリの髪は、強風の中で吹き荒れているのでしたとさ。