今年の2月から、お客さんの会社の書道部にまぜてもらった。
もうすぐ90歳になる林先生が師匠だ。
林先生の教え方は、「戦前式」とご自分でおっしゃるように、2カ月間、横に「一」を書き続ける。
来る日も、来る日も「一」を書く。もう〜、だめ〜と思った頃に、「次にいきましょう」というから期待したら、次は縦に「|」だ。どひ〜。
ただの棒だが奥が深い。「点、弾力、逆、身体で引く」が出来なければならない。
縦棒に四苦八苦している頃、私は骨折で入院した。
ほぼ同時期に入った渡辺さんは、どんどんうまくなる。あせる。
退院後も、ずいぶんと休んだ。
復活の日は、おりしも春の検定の提出日。
「辞退します...」と言ったら、先生に「出してごらんなさい」と言われ、3枚だけ書いて、そのうちの1枚を出した。初めて文字を書いた。即席の字だ。
しかし、この検定に提出しなかったら、書道を挫折したに違いない。
この11月、先生は、栃木の息子さんのところに越すために、東京を離れる。
書道部を引退する。おりしも先生の90歳の誕生日と重なる。
先日、秋の検定が行われた。私は、少しだけ努力する。
その努力が先生に通じて、「先の検定に比べて、格段に違う」と皆の前で褒めていただいた。
照れてしまって、皆の前ではおおげさに喜べなかったけれど、とても嬉しい。
先生、ありがとうございます。いつまでもお元気で...。